この記事は、CDPスコアを取得もしくは取得予定の情報開示企業向けのもので、CDPがどのようにスコアリングを行うか、スコアリリースのスケジュール、および、12月に情報開示企業および関連ステークホルダーへリリースされるスコアに含まれる情報、結果の解釈、について説明しています。また、透明性と品質に対するCDPのコミットメントについてもまとめています。
本記事に加え、CDPウェブサイト上のスコアリング関連資料も併せてご参照ください。主な補足資料は本記事の最後に記載されています。
注： サプライヤーエンゲージメント評価（Supplier Engagement Assessment （SEA）-旧称：Supplier Engagement Rating（SER））の詳細については、2026年第1四半期に公開される予定です。SEAに関する情報は、2025 CDP Supplier Engagement Assessment Introduction（英語のみ）およびCDP Supplier Engagement Assessment Methodology 2025（英語のみ）をご覧ください。
内容
CDPスコアとは
CDPスコアは、情報開示企業が環境への影響をどれだけ理解し、管理できているかを測るものです。主要な環境問題に関する各回答は、詳細なスコアリング基準に基づき、情報開示、認識、マネジメント、リーダーシップのいずれかの評価を受けます。
CDPは、スコアリング基準に基づき情報開示企業を評価し、スコアリングを行います。スコアリング基準には、質問書の各質問がどのようにスコアリングされるかが詳細に記載されており、情報開示企業の環境スチュワードシップに向けた進捗状況を評価します。CDPは、ベストプラクティスを達成するためのロードマップを企業に提供し、その年のベストプラクティスに沿ったスコアリングを実施しています。CDPが目指すのは、環境パフォーマンスの向上に向け、企業がその行動を変えるきっかけとなることです。
注：SME版質問書に回答した企業は、SME版質問書の基準に沿ってスコアリングされます。詳細については、「スコアリング関連資料」の「中小企業」タブをご覧ください。
2025年も引き続き、CDPは気候変動、フォレスト、ウォーターについてスコアリングします。プラスチック、生物多様性については、企業がこれらの分野の取り組みを強化する準備期間とするため、2025年も引き続きスコア対象外です。金融サービス向けには気候変動に加え、フォレストと ウォーターが今年から初めてスコアリング対象となります。
スコアリングの概要については、Full Corporate Questionnaire Scoring Introduction（英語のみ）をご覧ください 。
CDPはどのようにスコアリングするか？
スコアリングは、CDPと認定スコアリングパートナーが厳正な評価管理プロセスに基づき行います。CDP質問書への回答で提供されたデータに基づきスコアリングされ、スコアリング基準に明記されていない限り、外部リンクや添付ファイルは除外されます。情報開示企業は、回答に過不足がなく正確で、かつ最新であることをご確認ください。
各回答は、環境課題（気候変動、フォレスト、ウォーター）ごとに、CDPが公開するスコアリング基準に沿って、個別に評価されます。セクター別の質問は、該当するセクターごとのスコアリング基準に従いスコアリングされます。
情報開示企業には環境課題ごとに、AからD-までのスコアが割り当てられます。各評価レベル（A〜D）には2段階のスコア（例：A／A−、B／B−）が設定されており、そのレベル内で達成した得点率に応じて、いずれかが付与されます。最終的な総合スコアは、ウェイティング(重要度を勘案した重みづけ) された各分野の結果と必須要件の達成度から算出されます。 詳細については、以下の項目「１２月のスコアリリースに含まれるもの」およびそれに続くセクションに記載されています。さらに詳しいガイダンスについては、「スコアリング関連資料」ページの「企業」タブをご参照ください。
注：回答要請を受けた企業が回答を提出しなかった場合、または回答内容がスコアリングに不十分であった場合は、「Did not disclose」と表示されます。
必須要件
必須要件とは、スコアレベルを達成するために満たさなければならない絶対的な要件です。必須要件を満たしていない場合、スコアに影響します。詳細については、「スコア必須要件（気候変動、フォレスト、ウォーター）」をご覧ください。
スコアレベル
情報開示企業は、4つのスコアレベルで評価されます：
・情報開示（D/D-）：企業の報告の完全性を評価します。各質問に 割り当てられるポイント数は、求められるデータの量と、そのデータ利用者にとっての相対的な重要性に基づいて決まります。
・認識（C/C-）：環境問題が企業の活動や影響にどのように関連しているかについて理解していることを評価します。このレベルは、認識はあるがまだ行動には至っていないことを示します。
・マネジメント（B/B-）：環境問題を管理するための行動とプロセスの結果を認識し、理解するだけでなく実施に移していることを評価します。
・リーダーシップ（A/A-）：ベストプラクティスのパフォーマンスを体現し、意欲的な戦略、確かな進歩、セクターをリードする行動を通じて、情報開示企業が環境リーダーシップを発揮していることを評価します。
スコアの見方
最終スコアは、スコアレベル（情報開示 → リーダーシップ）のパフォーマンスと、各カテゴリーの結果に基づき算出されます。環境パフォーマンスの数値的な結果だけではなく、その内容の完成度や、企業への定着度が反映されます。
スコアレベルを上げるためには、そのレベルの閾値とすべての必須要件を満たす必要があります。これらの条件が満たされていない場合、たとえ特定の分野で高いパフォーマンスを発揮していたとしても、最終的なスコアは下位レベルのままとなります。必須要件を設けることで、CDPスコアのすべてのレベルにおいて、開示の一貫性と共通の水準が保証されます。
結果としての総合スコアは、CDPポータルのスコアページの上部に表示され、カテゴリースコアはその下に表示されます。
閾値やスコアリングについての詳細についてはFull Corporate Questionnaire Scoring Introduction（英語のみ）をご参照ください 。
カテゴリースコア
情報開示企業には、カテゴリースコアの内訳が表示されます。スコアカテゴリーは、トピックごとに質問をグループ化したもので、カテゴリースコアは、主要な質問グループにおけるパフォーマンスの概要を示すものです。情報開示と認識では、スコアは得点率として計算されます。
マネジメントと リーダーシップの総合スコアの算出には、カテゴリーごとのウェイティング(重要度を勘案した重みづけ) が反映されます。カテゴリーごとのウェイティングとは、CDP質問書とスコアリング基準の範囲内において、企業の環境スチュワードシップの進展における各カテゴリーの重要性を反映したものです。各カテゴリーのウェイティングはセクターによって異なり、環境スチュワードシップにとって最も重要な部分をわかりやすく示しています。例えば、「ガバナンス」と「目標設定」は、戦略的な影響力を持つという意味で、通常より高いウェイトが設定されています。
詳細については、「スコアリング関連資料」のカテゴリーのマッピング（英語のみ）とカテゴリーウェイト（英語のみ）を参照の上、適切な環境課題をご選択ください。
詳細は、Full Corporate Questionnaire Scoring Introduction（英語のみ）（P.9-10）をご覧ください。
フォレストのスコアリングコモディティ
フォレストについて開示する企業(金融サービスを除く)は、最大7つの森林リスクコモディティについて開示します。そのうち4つ（木材製品、パーム油、畜牛品、大豆）がコモディティサブスコアの対象となり、それが単一のフォレストスコアに反映されます。
コモディティごとのサブスコアの結果のみでAリストに選定されることはありませんが、フォレストの単一スコアに影響します。天然ゴム、カカオ、コーヒーのいずれかのみのデータを開示している企業には、フォレストに関するスコアは付与されません。詳細は、Full Corporate Questionnaire Scoring Introduction（英語のみ）の「Forests scoring」と「Commodity sub-scores」（P.7-8）をご覧ください。
スコアリリースのスケジュール
提出される回答の整合性と品質を保つため、開示サイクルには以下のような段階があります：
・開示期間：情報開示企業がCDPポータルを通じて質問書の回答を準備し、提出する期間です。スコアリング提出期限は2025年9月17日です。
・スコアリングと評価： 開示期間終了後、CDPの認定スコアリングパートナーと内部スコアリングチームにより、スコアリング基準と厳正な審査（クオリティ・アシュアランス）に基づき回答が評価されます。
・初回スコアリリース：一般公開に先立ち、情報開示企業へは2025年12月10日にCDPポータルを通じてスコアが通知されます。
・一般公開スコアリリース：最終スコアは、2026年1月にCDPのウェブサイトで公開されます。 （ただし、一般公開対象となる企業のスコアのみ
情報開示企業へはメール、およびCDPポータルを通して、上記スケジュールと主要マイルストーンが通知されます。
12月のスコアリリースに含まれるもの
2025年の初回スコアリリースは12月10日です。初回スコアリリース時には以下が通知されます：
・総合スコア：スコアリング基準に基づき採点されたスコア（D-からA）。
・カテゴリー別の内訳： 主要カテゴリーの結果（ガバナンス、目標、リスク開示など）。フォレストについて開示した企業には、コモディティごとのサブスコアも付与されます。
・セクター別および地域別の平均値：分析および計画立案に役立つセクター別および地域別の平均値（対象企業のみ）。
この通知により、一般公開スコアリリース前に自社のパフォーマンスを確認することができます。
注： SEAスコアについては12月のスコアリリース時には通知されません。リリーススケジュール等の詳細は2026年第1四半期に発表される予定です。
スコアリングされない理由
情報開示企業によっては、今回の開示サイクルではスコアリング対象外となる場合があります。理由については、貴社ポータルの「スコア」タイルの下に明記されます。代表的な理由は以下の通りです：
・提出言語：2025年については、英語、日本語、中国語、スペイン語、ポルトガル語で提出された回答のみがスコアリング対象です。その他の言語で提出された回答（回答の言語として「その他-指定してください」が選択されている場合）はスコアリング対象外です。
・スコアリング対象提出期限を過ぎた場合：スコアリング対象提出（2025年9月17日）以降に提出された回答は、スコアリング対象外です。
・地理的制限（ロシア／ベラルーシ）： 情報開示規約第11項に従い、地理的制限を受ける企業（ロシアかベラルーシに所在する、またはロシアかベラルーシで事業を展開している企業）は、スコアリング対象外です。
・その他の要因：情報開示規約に従い、必要な条件を満たさない場合（無効なACSステータスなど ）、回答はスコアリング対象外です。対象情報開示企業にはその旨メールで通知されます。
スコアリング対象条件についてのご質問、またはスコアが付与されるはずであったと思われる場合には、CDPヘルプセンターのマイサポートよりお問い合わせください。担当部署にて適切に対応できるよう、お問い合わせの際はカテゴリー「CDPスコアリングに関連する質問」、サブカテゴリー「組織のスコアに関連する質問」をご選択ください。
透明性と品質：CDPとしてのコミットメント
CDPはスコアの正確性、透明性、公正性の確保に努めています。すべての回答は、公開されているスコアリング基準、必須要件、厳正な審査（クオリティ・アシュアランス）に沿ってスコアリングされます。
スコアアピールプロセス
スコアに誤りがあると考えられる場合、CDPは初回のスコアリリースから6週間、スコアアピールを受け付けます。情報開示企業がスコアアピールを希望する場合、アピールフォームを提出することで、異議申し立てが可能です。提出されたスコアアピールは、CDPのスコアリングチームによって審査されます。詳細は、スコアアピールポリシーとプロセスをご覧ください。
審査が完了次第、CDPより結果が通知されます。CDPは、アピールフォームに記載のない内容も含め、情報開示企業の回答すべてを総合的に評価します。スコアアピール後に付与された結果は最終的なもので、それ以上の異議申し立てはできません。
このプロセスはすべての企業が公平にスコアリングされるためのもので、このプロセスによりCDPは、最高水準のデータ品質と透明性を維持しています。
スコアアピールについてのお問い合わせは、 CDPヘルプセンターのマイサポートよりお問い合わせください。担当部署にて適切に対応できるよう、カテゴリー「CDPスコアリングに関する問い合わせ」、サブカテゴリー「組織のスコアに関する問い合わせ」をご選択ください。
CDPスコアリング関連資料
この記事に関連する資料は、CDPのウェブサイトに掲載されています。
以下のリンクもお役立てください（英語のみ）：
・スコアリング基準： 気候変動 /フォレスト / ウォーター
・CDP Full Corporate Scoring Introduction 2025
・CDP Full Corporate Scoring Change 2025
・カテゴリーマッピング：気候変動 / フォレスト /ウォーター
・カテゴリー別ウェイト： 気候変動 / フォレスト /ウォーター
・CDP SME Scoring Introduction 2025
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